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「観光立国推進基本計画」素案発表をうけて - インバウンドコラム 第1回

2025年末までの新しい「観光立国推進基本計画」の素案が、2023年2月8日に示された。今までの訪日の人数より、消費額を重視し、インバウンド消費の目標を一人25%増の25万円/人を新たな指標とするとのこと。この流れは世界中の政府観光局も人数よりも消費額を目指しており、同じ流れであり観光の目的として妥当だと思う。ただ、この現在の旅行消費額の取り方について、問題点を指摘したい。現在の指標は、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」からの数字をベースにしていると推測するのであるが、その数字は、四半期ごとに全国の空港の調査をベースとしている。しかしながら調査員の対面調査には限界がある。調査の模様を筆者も直接目撃したことがあるが、搭乗ゲートの前に調査員がいて、一人ずつヒアリングしていいかのお伺いをたて、ヒアリングに応じると回答された方のみ、ヒアリングをしている。

 これでは富裕層市場の動向は全く取れない状況となっている。なぜなら、富裕層市場(ビジネスやファーストクラス)の顧客は、航空会社各社のラウンジに搭乗時間ぎりぎりまでいて、搭乗ゲートは素通りなのである。消費動向調査は、富裕層市場が相当な買い物を日本で行いその数字が全体の数字を押し上げている構図だと思われるが、この調査方法であればいつまで経っても正確な数字が取れない。そこで、筆者が提案したいのはクレジットカード会社と連携して、日本でどれくらい消費しているのか、消費額を定期的に調査する方法である。クレジットカード会社がどこまで協力しているかにもよるが、加盟店の協力などにより、個人情報を特定しないという条件でデータを定期的にとるという形はどうだろうか?富裕層に限らず、訪日外国人によるクレジットカードの支払いが100%ではないが90%の後半の割合で使用しているのではないかと推測される。ぜひ従来の消費動向調査に変えて、クレジットカードの消費額と、それに付帯して、何にいくら使っているのかのデータが取れれば、より正確なマーケティング資料になると思われる。


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