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モノより“人”を売りに!心通うつながりがインバウンドを呼ぶ ヤマシロ・カンパニー代表 伊東 和宏インタビュー

ヤマシロ・カンパニー代表の伊東 和宏が、ライターの鹿倉安澄さんからインタビューを受けました。鹿倉さんによるインタビュー記事を弊社ブログに掲載いたします。

長年、海外と日本をつないできたヤマシロ・カンパニー代表の伊東和宏さん。日本政府観光局(JNTO)のバンコク事務局長や近畿日本ツーリストでの経験を活かし、インバウンドコンサルタントとして独立されました。
今回はインバウンドへの想いや現在手掛けている事業について、ライターの鹿倉安澄がお話をうかがいます。

伊東和宏1モノより“人”を売りに!心通うつながりがインバウンドを呼ぶヤマシロ・カンパニー代表 伊東 和宏インタビュー

これまで大手旅行代理店や日本政府観光局のお仕事をされていた伊東さん。現在は、老舗ホテルの営業顧問やコンサルタント業務、講演・執筆活動など、精力的にご活躍されています。

事前におうかがいしていた伊東さんの肩書は『インバウンドコンサルタント』。インバウンドコンサルタントとはどのようなお仕事なのでしょうか?

伊東 最近よく耳にする“インバウンド”は、日本語にすると「訪日外国人旅行」です。簡単に言えば、外国の皆さんに、日本に旅行に来てもらえるよう促すのが私の仕事ですね。

受け入れ態勢を整え、世界中の人々を日本へ

未だコロナ禍の影響が尾を引く日本。世界的に見れば落ち着きを取り戻しつつあるようにも思われます。

伊東 日本国内では現在も“コロナ終息”とは言えない状況ではありますが、訪日外国人への規制が緩和され、街で海外の方を見かける機会が増えました。大半を占めていた中国からの観光客はまだ望めませんが、東南アジアや欧米からの来日は増加しています。

日本政府観光局(JNTO)の訪日外客数を見てみると、2022年10月には日本を訪れた外国人は498,646人。コロナによる影響が大きかった2021年10月の22,113人と比べると、大きく回復しています。とはいえ、コロナ発生直前の2019年10月の2,496,568人と比べると、200万人ほど少ない状況です。インバウンド需要の回復は「これから」というところでしょうか。

伊東さんは前職では東南アジアからの訪日外国人の誘客にご尽力されていたそうです。今回、新たに立ち上げたヤマシロ・カンパニーでは、東南アジアに特化したビジネスをお考えなのでしょうか?

伊東 仕事の関係でタイのバンコクに住んでいましたから、東南アジア事情には詳しいですね。しかしながら、これまでずっと旅行やインバウンド、地域活性化に関係する仕事をしてきましたので、東南アジア以外の国を除外しているわけではないんです。

例えば、インバウンド誘客を検討している地方都市があったとします。

一口に「訪日外国人を増やしたい」と言っても、欧米人なのか?東南アジアの方々なのか?そして、どのような観光資源・旅館やホテル・商店があるのか棚卸が必要です。

誰をターゲットにするかによって、打つ手が大きく変わりますからね。国を限定すると提案できることが限られてしまいます。

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意外に多い?東南アジアからの訪日客

日本でよく見かけるのは中国や韓国、欧米からの観光客です。東南アジアの方々が飛びぬけて多いとは思ってもみませんでしたが、実際にはかなりの人数が来日しているそうです。

伊東 実は訪日外国人の五分の一以上が東南アジアやインドから来ています。東南アジアの方々は、容姿が日本人と非常によく似ているんです。幼い頃からアニメやバラエティ番組、車や家電などを通じて日本に親しみを感じているので、感覚も似ているところがあるのかもしれませんね。

現在、ホテル三日月グループの営業顧問をしていますが、2020年、ベトナムのダナンへの進出を叶えています。東南アジアには日本に憧れを抱いている人がたくさんいるので、日本企業が非常に好意的に受け入れられています。

東南アジアから来日する方々と公共交通機関で乗り合わせても、日本人は相手が外国人だとは気づかないとか。その多くは富裕層で、最新のファッションを身にまとい、セレクトショップで買い物を楽しまれているそうです。

富裕層向けの旅行事業を支援

東南アジアに限らず、欧米や中国、韓国などからの富裕層の訪日は、年々増加しているとのこと。

伊東 最近の富裕層の方々は、一般人と見分けがつきません。ブランド物で身を固めた「いかにもお金を持っていそうな感じ」ではないんです。

マーク・ザッカーバーグ やスティーブ・ジョブズをイメージしていただくとわかりやすいかもしれませんね。シャツにジーンズといったラフな格好をしているので、一見、富裕層とは気づきません。世間ではニューラグジュアリーと呼ばれる方々です。

これまでの富裕層とはどのような点が違うのですか?

伊東 ファッションや宿泊、交通など、すべてを高級なもので揃えるのではなく、自分がこだわりを持っているものにだけ、大金を投じます。

日本に美術品の買い付けに来る方々にも、その傾向が見られます。数百万円の高額な伊万里焼の皿にはポンとお金を出しますが、飛行機はファーストクラスを使わず、ホテルも清潔感があるならそれで良しとします。

訪日の目的である美術品購入にはお金を使いますが、そのほかはこだわりません。

ニューラグジュアリー層の方々はどんなものに価値を感じているのでしょうか。

伊東 中国人観光客による“爆買い”に代表されるように、これまではショッピングを目的とした訪日が目立っていました。

しかし、モノではなく、「体験」が重視され始めています。

観光地の大自然の中で過ごしたいという要望は以前からありましたが、より本格的でハードな体験が求められています。

具体的には、トレッキングや登山のような自然の中で行うアクティビティです。ハイキングレベルではなく、崖を登るような運動強度の高いものもあります。

アドベンチャートラベルと呼ばれ、異文化交流や自然とのふれあいを通して、内面の変化を感じるような新しいスタイルの旅です。

大量消費の時代が終わり、モノにも体験にも質が求められるようになったのは自然な流れなのかもしれません。

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新たな訪日目的を創出する。スポーツツーリズムとは?

伊東 体験という意味では、スポーツツーリズムも盛んです。

スポーツツーリズムとは、スポーツ観戦する方向けの旅のことをいうのでしょうか?

伊東 もちろん、サッカーやラグビー、テニスなどの大会を観戦する外国人向けの旅も含まれます。しかし、常に日本で世界大会が開催されているわけではないので、目を向けたいのは、日本で体験できるスポーツによる誘客ですね。

ゴルフやダイビング、スキーなど、日本でスポーツをすること自体に価値を感じ、訪れてもらいたいんです。

ゴルフは「午前中に1〜9ホールを回り、お昼休憩。その後18ホールまで回って、風呂やサウナを楽しみ帰宅する」、非常に日本的なエンジョイゴルフのスタイルが、外国の方に異文化として受け入れられています。

日本特有のゴルフスタイルを異文化として楽しんでもえらえるのはわかりますが、ダイナミックな絶景が広がる外国の海と比べると、わざわざ日本にダイビングをしに来ようとは思わないような気がします。日本にも良いスポットがあるのですか?

伊東 日本人の間でも「世界中から人が集まるダイビングスポットがある」とは思われていないかもしれませんが、サメと一緒に泳いだり、ウミガメと出会えたりと、意外に外国の方々に喜ばれる日本ならではのダイビングスポットがあるんですよ。

外国人が訪れるといえば、北海道ニセコのスキー場も有名ですね。

伊東 12月から2月のハイシーズンは、南半球は夏真っ盛り。季節が日本とは正反対のオーストラリアから、雪を求めてたくさんの人が訪れます。そのほかの国からの来日客も絶えません。コロナ禍で来訪数は激減してしまいましたが、コロナ流行前のピーク時は、冬季に限ってはニセコ町総人口の七分の一近くが外国人であったほどです。

人と人とのつながりを大切に、地域活性化を考える 

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伊東 訪日外国人を増やすためにも、日本の地域活性化は欠かせません。

さびれた温泉街や商店街がシャッター街になっている場所が目立ちます。伊東さんは地方自治体や観光組合からの依頼で、元気をなくした観光地に赴き、アドバイスをされているのだとか。

伊東 私の口からお伝えしてもいいのですが、一番心に響くのは、「チャレンジした成功者に語ってもらうこと」です。実際の事例でお話ししますね。

東京のある旅館は、修学旅行生を主な顧客とし、客室は20室ほどありました。あるとき修学旅行での利用が激減し、利用客ゼロの日が続いてしまったんですね。旅館をたたむ覚悟もしましたが、一縷の望みをかけ、外国人の受け入れに乗り出しました。

従業員は英語が話せません。それでも、メニューや館内表示に英語を追加し、よく質問される内容を英語にしたメモ書きを用意、精一杯の準備をして外国人客を受け入れ始めたのです。すると大成功。現在もほぼ満室が続いています。

そして、その成功者である旅館オーナーを地方に招き、立て直しに苦慮している旅館で経験談を語ってもらったのです。

経営者や中居さんが「外国語を話せないし、受け入れなんてとんでもない」とハナから拒否するケースも少なくありません。

しかし、同規模の旅館が外国人観光客を受け入れ、経営状況が好転したとなれば、聞く側の本気度は跳ね上がります。

最終的に、講演を聴いた旅館オーナーたちは、躊躇していたのがウソのように、やる気満々で訪日外国人の受け入れに乗り出したのです。

「“コンサルタント”より、同じ立場の人の言葉の方が心に突き刺さり、行動を起こすだろう」という、伊東さんの読み通りになったわけですね!

モノより“人”を売りに!リピーターを増やそう

伊東 観光資源の発掘も重要ですが、人と人とのつながりは軽視できません。外国人を農家で受け入れるファームステイ、「おじいちゃんおばあちゃんに親切にしてもらった」記憶が、再来日を促します。中には海外に招いてもらえるほど、強いきずなを結ぶ人もいます。

日本の居酒屋の大将がおもしろくて、料理もおいしくて「また来たよ!」と来日する外国人。来日の目的は、いつの間にか「日本で観光すること」から「居酒屋の大将に会いに行くこと」に変わっていくんです。

「モノや場所があるから」ではなく、心と心の結びつきに価値を感じて日本に来る。これほど強い訪日動機はないでしょう。

伊東 マーケットが小さく感じるかもしれませんが、その積み重ねで輪が広がっていきます。やがて大きなうねりとなって、日本と海外の強固な結びつきを生み出します。

日本人も海外へ!行き来し合い、交流を楽しみたい

日本人にはどんどん海外に行って、多様な世界を知ってほしいという伊東さん。

伊東 日本人の20〜30代男性は、ほとんど海外旅行をしません。海外旅行に積極的なのは、金銭的余裕のある熟年層と、食や美容を目的とした30〜40代の女性ですね。

そもそも若者のパスポート保有率は低く、日本旅行業協会ではパスポート取得費を援助するキャンペーンを行ったほどです。

コロナの流行を抜きにしても、10年程前と比べて「休暇を取って海外旅行を満喫したい!」と思う人は減ったように思います。

伊東 年配の方も、若者も、どんどん海外に行ってほしいですね。日本を飛び出せば、便利で楽しいことばかりではないかもしれません。それでも、その土地ならではの香り、音、味を感じ、五感をフル稼働して得た経験は、何物にも代えがたいものです。

舌や匂いの記憶は、脳に深く刻まれますからね。

確かに、宿の記憶はおぼろげでも、「朝食のコーヒーに入れた濃厚な牛乳の味」「イタリアの街角で地元の人に紛れて並んで買ったカルツォーネのおいしさ」は今でも脳裏にありありと蘇ってきます。

伊東 そういうことです!Google Earthで日本に居ながら世界中の様子が見られますが、現地に足を運ばないと五感で異国を感じられないんです。ちょっと危ない目にあったとか、不衛生で不便であったとか、そういうマイナスの体験だって日本にいたらなかなかできません。海外に行くと逞しくなりますよ。

伊東和宏5モノより“人”を売りに!心通うつながりがインバウンドを呼ぶヤマシロ・カンパニー代表 伊東 和宏インタビュー

日本と世界をつなぐ仕事に精力的に取り組まれる伊東さん。どんな球を投げても、瞬時に打ち返すような、ご経験の幅広さに驚かされました。伊東さんに相談すれば百人力!きっとどんな難問でも豊富な知識と行動力で解決に導いてくださるのだろうと思いました。

本日はお話、ありがとうございました。

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